スペイン巡礼:【Day 10】Nahera → So Doming de la Calzada (21.3km)

【5月29日(月)】

 

天気は雷雨のち曇り時々晴れ

 

まだ日の出前の早朝、ヘッドライトを頭に着けて、ポンチョを着て雨の中を出発した。

  

巡礼の道を歩いて行くとすぐ森の中の道を抜けるルートになっていた。

真っ暗闇の森への入り口。

アルベルゲへ引き返そうかと思うほど怖かった。

夜の岩山も不気味だった。

前後にはペリグリーノがいない。

自分のヘッドライトの灯りを頼りにうっそうとした森へ入って行く。

すぐに森を抜けると、視界が開けた。

そこへピカピカゴロゴロとカミナリが激しくなってきた。

暗闇でピカピカっと光る。

直後に空全体から爆音が響きわたる。

カミナリがとても近い。

誰か歩いていればいいのに、誰も歩いていない。

 

カミナリの轟音で足がすくむ。

家の灯りも建物もない大地、真っ暗闇の中にたった1人。

顔を前に向けると凄まじい稲妻が見えてしまい、下を向きながら肩をすくめて歩く。

 

声をだしマントラを唱えた。

マントラのパワーは色々なヨガの先生から聞いていた。

意味が分からなくてもいいから唱えればいいこと。

マントラの音そのものにパワーがあること。

マントラの種類によって、自分のまわりにバリアをして守ってくれるもの、

進みたい道に障害があればそれを取り去ってくれるもの、

自分のエゴに打ち克つためのものなど。

 

雷に怯え心細い。

思いついたマントラを唱えながら歩くしかなかった。

ヘッドライトを手に持ち替えて、大きな石や木に黄色の矢印があるか確認しながら歩いた。

 

マントラを唱えてすぐ恐怖心が小さくなっていった。

雷がその後も繰り返し繰り返し響き渡るのに、平気になってきた。

 

恐怖そのものに支配されていた心は、

客観的に俯瞰するような感覚になる。

これは本当にマントラのパワーなのだろうか。

私たちは一時的な感情に支配されて、感情そのものになってしまう時がある。

恨み、嫉妬、強欲、欲望、恐怖、不安、心配、落ち込み、焦り、、、

だけどそれは一時的に出てくる感情に過ぎない。

感情は感情に過ぎないのであり、感情も思考も自分ではない。

私たちの本質は、マインドでも感情でも思考でもない。

マインドはいつも忙しく、コロコロ変化する。

 

自分で唱えたマントラを耳で聞きながら音と呼吸に意識を向ける。

 

あちこちに飛び回る思考や、

恐怖や不安に支配されて自分の本質を見失っていても、

あ、いつもの自分じゃないと気づき、穏やかな状態の自分を思い出せる。 

 

パニックになることもなく歩き続けることができ、

マントラの威力を身にしみにて感じることができたのはこの日が初めてだった。

 

ピレネー越えの時もマントラの効果はうっすらと感じていたが、

苦手なカミナリに対し自分の弱さを試すにはこの時ほどのシチュエーションは今までになかった。 

スペイン巡礼で、自分の弱点、弱さがこんな風に強く試されるとは思わなかった。

 

後ろを振り返ると、ヘッドライトの灯りが見えた。

アルベルゲから出発したペリグリーノたち。

道の分岐点で立ち止まり、彼らが追いつくのを待った。

「どっちの方向か知ってますか?」と聞いた。

若い二人組の1人がスマホで確認し「こっちで合ってる」と教えてくれた。

2人は私よりも先に歩いて行き、あっという間に消えて行ったが、もうこれで安心。

 しばらくすれば雨も小ぶりになり、空も明るくなってきた。

f:id:aoisora123:20170921113418j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921113509j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921113542j:plain

出発してから6.4km先にあったAZOFRAの町に入った。

 

f:id:aoisora123:20170921113557j:plain

カフェコンレチェを飲んだ。

 

f:id:aoisora123:20170921113610j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921113624j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921113640j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921113656j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921113711j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921113724j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921113738j:plain

ルーマニアからのペリグリーノと歩きながらしばらく話した。

この方もこの前、日本人の女性と会ったという。

Yさんから聞いたKさんという女性だろうと思った。

f:id:aoisora123:20170921113808j:plain

足の長い欧米人とは同じペースで歩くとこちらが疲れてしまう。

私は歩くのが遅いからと伝え、先に行ってもらった。

f:id:aoisora123:20170921113821j:plain

しんどい・・・・

座るところもないけれど、ザックを下ろしてとにかく座って休みたい。

草むらの上にザックを下ろし、ザックの上に座り、は〜っとため息を漏らす。

 

しばらくするとハンガリーからきた女の子が歩いて来て

「大丈夫なの??」と声をかけてくれた。

「大丈夫」と答えた。

こんな道端で座り込んでたら、具合が悪いのかと心配になるだろう。

このぬかるんだ道がけっこう長く感じた。

f:id:aoisora123:20170921113837j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921113902j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921113931j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921113951j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921114009j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921114028j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921114048j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921114113j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921114128j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921114145j:plain

オーストラリアからのご夫婦がいてしばらく一緒に歩いた。

3人のお子さんが大きくなったので2人で巡礼に来たと話していた。

奥さんが疲れて歩くペースが落ちると、ご主人が立ち止まり待つ。

おしゃべりな奥さんと、黙々と前を歩くご主人。

微笑ましいご夫婦だった。

 

 

f:id:aoisora123:20170921114206j:plain

So Doming de la Calzadaの町に到着した。

サント・ドミンゴ・デ・ラ・カルサーダ - Wikipedia

 

f:id:aoisora123:20170921114224j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921114248j:plain

アルベルゲの受付待ちの列が見え、私も順番待ちに加わった。

 

巡礼の2日目と4日目に会った香港からのペリグリーノのJさんとRさんが歩いてきた。

「ハーイ!」元気な2人を見て嬉しかった。

彼らも同じアルベルゲに泊まった。

f:id:aoisora123:20170921114309j:plain

 部屋は受付順に割り当てられた。

f:id:aoisora123:20170921114326j:plain

 

スーパーは見ているだけで楽しい。

f:id:aoisora123:20170921114343j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921114358j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921114414j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921114439j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921114454j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921114516j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921114535j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921114558j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921114619j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921114642j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921114701j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921114718j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921114738j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921114754j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921114814j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921114831j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921114847j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921114904j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921114920j:plain

この教会には生きたニワトリがいます。

ツアー団体のガイドさんが話している時にニワトリがコケコッコー!と元気に鳴くので思わず団体旅行者たちが笑いだしました。

その後も、コケコッコーと何度も鳴いてました。

ニワトリが飼われている理由はこちらに詳しく書いてます。

calzada

 

 

f:id:aoisora123:20170921114939j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921114956j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921115012j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921115031j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921115049j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921115106j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921115122j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921115144j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921115205j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921115217j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921115236j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921115259j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921115708j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921115318j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921115349j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921115403j:plain

 

f:id:aoisora123:20170921115416j:plain

スペインでは安いモッツァレラ(0.8ユーロ)

 

デザートに買ったプリンを香港のRさんとJさんにも食べてもらった。

プリンは日本のように1個売りはほとんどなく4個や6個セット等が多かった。

香港のJさんとRさんとはこれ以降は会うことはなかった。

お二人はサンティアゴのゴールに到着した後、さらにムシアとフィステーラまで歩いたとメールで教えてくれた。

Jさんは、巡礼は2回目。そして3回目の巡礼を計画中なのだ。

熱波で猛暑のスペイン巡礼、こりごり、もう2度目はない。

だが、3回目の巡礼に行くJさんを、いいなあと思う自分がいた。

 

 

【アルベルゲ】

・8ユーロ

【教会】

・3ユーロ