スペイン巡礼:【Day 18】Castrojeriz → Boadilla del Camino (20.2km)

【6月6日(火】

 

天気は晴れ。

 

皆が出発する準備の音で目が覚めた。

 

目覚めたとき、自分のみていた夢が印象的だったので夢の記憶をたどる。

それは私が20代前半の頃の出来事を含む夢だった。

私にとってそれらの出来事は、20代だった頃の過去のこととして、終わっており、

現在と切り離して受け止めて、すっかり忘れているつもりだった。

だけど今朝の夢では、不自然なくらい、今現在の私と繋がっていた。

今の自分と20代のその時の自分。

夢では、周りの人も、自分も、時間という概念もなかった。

変な夢。

よくわからないけれど、

朝はいつもすっきり起きられず気怠そうにしているクラウディアに、

「クリアな夢をみた」と伝えたると、

「カミーノを歩いているからよ」と彼女は言った。

 

 

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宿の清掃係のおじさんに可愛がられて、餌をもらっている猫 


 

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宿の清掃係のおじさんに可愛がられて、餌をもらっている犬。 


アルベルゲを出てすぐ、2人は間隔をあけて前後に歩き出した。

アルベルゲの清掃係のおじさんが「おーい」と呼んだ。

振り向くと、貴重品が入っているクラウディアの黒色のサブバックを持って腕を上にあげていた。

クラウディアはバックパックは背負っているが、大切な貴重品入りのサブバックを忘れて出発したのだった。

彼女は慌てて引き返し、階段を上ってサブバックを取りに行った。

 

アルベルゲを出たのは私たちが最後だった。

今日は遅めの出発。

 

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他のアルベルゲに泊まったと思われる巡礼者たちも歩いていた。

 

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町を抜けきると、一本の道の前方に、なだらかな山のような丘が横たわっていた。

標高約900mほどの、Mosteralesという峠。

 

 

 

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後ろを振り返る。

今朝までいたCastrojerizの町は、こんもりした丘の中にあったことがわかった。

 

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また後ろを振り返る。

爽快、澄んだ空気、きれいな景色なので何度も振り返った。

 

 

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小さな川を渡る。 

 

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いよいよ峠が近づいて、上り坂を歩いて行く。

 

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また後ろを振り返る。

 

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Mosteralesの丘を登りきったところに休憩所があった。

気持ちがいい眺め。

不思議な景色のなかで風に当たり、ぼーっとして休んだ。

 

 

しばらく座っていたら、10日前に同じアルベルゲで、ベッドが上と下だったイギリス人のハワードが歩いてきた。

前回初めてハワードと会った時、どんな地図を使って歩いているのか質問し、「Camino」というアプリを教えてくれた。

play.google.com

 

クラウディアはカミーノのガイドブックを使っていた。

人それぞれ、頼りにする参考書やアプリを使っている。

私は日本でガイドブックをスキャナーでPDFデータにしてiPad miniに保存していた。

だけど、微妙に距離や情報には、誤差があるようだった。

どれが正しいかわからないが、小さなことなので特に問題になることもなかった。

ハワードが教えてくれたアプリは、無料版でみれる情報が限られていたので、

ほとんど使わなかった。

情報サイトでアルベルゲの口コミなどを確認してから宿を決める人もいた。

 私はいつも行き当たりばったりだった。

いつも歩き出すときは、おおよその町までの距離とルートを確認するだけだった。

 

 

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クラウディアも休憩所に到着した。

「トイレしたいから、荷物みてて欲しいの」と頼まれた。

彼女は離れた草の茂みまで歩いて行った。

タバコがやめられない彼女はトイレも近いので、よく「ピピがしたい」と言って、荷物を降ろして茂みに入っていった。

カミーノでは草むらの茂みで用を足さないといけないことが何度かあった。

 

 

 

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朝はいつも憂鬱そうな表情のクラウディアも、時間の経過とともに元気になっていった。

 

丘の上は、しばらく平坦な道になる。

 

 

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しばらく丘の平坦な道を歩き続けると、出ました。この景色。

果てしなく前方へ続く一本の道。

季節や太陽の位置、雲の有無などで、道と草原のコントラストが弱いけれど。

映画「サン・ジャックの道」や、本の表紙などでも見かけた。

映画は2005年頃のものだが、当時はこの下り道はゴロゴロと石が見えていたのに、

舗装されていて、石で滑ることもなく歩きやすくなっていた。

 

この独特な景色は、「メセタの大地」の一部。

メセタとは、スペインの国土の中央を占める平均標高700mの大地。

スペインの全面積の半分にも及ぶ。

カミーノでは、ブルゴスからアストルガまでの道がメセタ(Meseta)だそうだ。

メセタは「冬の九ヵ月,地獄の三ヵ月(Nuevemesesdeinvierno,tres
deinfierno)」と評される大陸的な気候を呈し、きびしい乾燥のため不毛地、ステップが多い。

http://repo.lib.hosei.ac.jp/bitstream/10114/3830/1/kyoyo93_matuda.pdf

 

メセタは中央スペインの広大で広大な平野に与えられた名前です。 ブルゴスの直後からアストルガで終わると、カミノ・フランシスは約220kmのメセタの北端を通り、ヴィア・デ・ラ・プラタのルートは西部を約180km走行します。 それは長いステージ、空の風景、大きな空で有名ですが、夏には非常に暑く乾燥していることが多く、冬には凍っています。

www.walkyourcamino.com

 

Mesetaとは、スペイン語でテーブルを意味するMesaが由来。

私が今歩いてきた丘は、テーブルのようだった。

スペイン国土の中央に広がる大地全体がテーブルなのかもしれないが、

今歩いたMosteralesの丘の上は、テーブルの台のように広く平坦。

そのあと、また同じ高さの下り道があるだけ。

ほんとにテーブルを上がって、上をしばらく歩いて、また降りたような感じだった。

 

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一本の続く景色の道が終わったところに休憩所があった。

小さな移動販売をしているおじさんがいて、隣では飲み水を汲めた。

 

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歩いて来た道を振り返る。

 

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もう一本道があったのか。でも別の方角からの道で、巡礼者は誰も歩いていない。

 

 

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クラウディアが教会で祈りたいといい、私も一緒に入った。

 

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カスティーリャ・イ・レオン州のなかの、パレンシア県に入った。

パレンシア - Wikipedia

 

www.spain.info

巡礼路はパレンシア県の中心地は横切らないのでわからなかったけれど、

パレンシアの中心の町は大聖堂も有名で素敵な町らしい。

時間があれば寄り道すればよかった。当時はそんなことを考える余裕もなかった。

巡礼の町から50kmくらいに中心地が位置しているから徒歩では厳しい。

 

 

 

 

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Castrojerizを出発して10km地点にあるItero del Castilloという小さな村を1つ通り過ぎた。 

ここまで、今日のノルマの半分の地点。

あと半分の10kmを歩けば今日の目的に着く。

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みたことも想像したこともない景色。

地球ではなく、どこかの惑星を歩いているかのような錯覚。

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小さな木陰に到着し、昼食にする。

クラウディアがスーパーで買ったチーズと私のツナ缶を、私のシリコン製の器でマッシュして、乾燥パンに塗ってカナッペにして食べた。

私も日本から持って来た塩昆布をあげると、「美味しい!何これ?」とクラウディアがスマホで写真をとり、長女に画像を転送した。

クラウディアの長女は日本に興味があるそうだ。

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この景色は本当にすごいねと言うと、

クラウディアは「心にもこの景色を焼きつけて、何かあれば、この景色を思い出せばいいと思うわ」と言った。

 

この景色、ここでこうして2人でピクニックしたこと、カミーノに来たからこそ味わえる時間を心に焼きつけようと思った。

 

 

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羊の群れとロバ。絵本の世界みたいだった。

 

 

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牧羊犬?



 

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町の中心にはいつも教会があった。

 

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クラウディアが去年も泊まったアルベルゲに到着。

 

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アルベルゲのオーナーが飼っていた猫。

 

 

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二階建てのアルベルゲにの壁じゅうに、オーナーのお母様が描いた油絵がかけられていた。

 

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プールで疲れた足を浸してのんびりする巡礼者たち。

 

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ヨガをしていたら、他の巡礼者もストレッチを始めた。

 

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アルベルゲのディナーは10ユーロ。

ここで同席になった40代のスイス人夫婦と、イギリスからのかなりの高齢の女性と四人で、つたない英語で会話しながら食事をした。

 

前菜はスープが2種類だった。

四人で仲良く取り分けて、スープをたっぷり食べた。

このスープだけでお腹いっぱい。

 

 

 

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厚みのあるジューシーな骨付きチキン。食べ応え十分過ぎてもうお腹がはち切れそうだった。

 

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デザートはバニラをチョコでコーティングしたアイスバー。

お腹いっぱいだけど、完食してしまった。

 

 

日本人70代のSさんも違うテーブルでクラウディアと食事をしていた。

Sさんが食事を終え帰りぎわ、「いやあ、ほんとうに美味しかった。」と満足して部屋へ戻っていかれた。

 

部屋は3つある二段ベッドに女性だけ4人で過せた。

ぐっすり眠れた。

 

【アルベルゲ】

・8ユーロ 

 

当時の日記です。

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