スペイン巡礼に行く前に観た映画

こんにちは。

 

スペイン巡礼に行く前に観た映画、3本についてです。

 

映画「サン・ジャックへの道

2005年 制作。

フランス映画。

 

店頭に置いてないのでTSUTAYAで取り寄せて借りました。

3人の兄弟が遺産相続の為に兄弟そろってサンティアゴ・デ・コンポステーラに向けて、フランスのル・ピュイから1500kmを歩かなければならないことから物語が始まる。

  

 

www.dailymotion.com

 

ナレーション。

まっすぐ続く一本道を歩き続ける旅は、人生そのもの。

生きていくうえで本当に必要なものなど、そう多くはないんだと教えてくれる。

人生って、捨てたもんじゃない。

 

帰国後に、映画「サン・ジャックへの道」を再度観ました。

 

巡礼に出発する前に観た時の感想は、コミカルで面白くて、フランス映画らしく登場人物たちは個性豊かで、簡単にひとくくりにはできない奥深さもありました。

登場人物のセリフや表情ばかりに気を取られてしまったけれど、

帰国してもう一度観ると、巡礼の景色の色彩の豊さ、広々とした大自然や美しい川沿いの道など、画面の構図の巧みさに気づきました。

 

巡礼の景色が伝わる引いた構図。

ピレネー山脈や長い一本の道、メセタの大地のシーンがありますが、広大で雄大な雰囲気がそのまま伝わってくる。自分がそこにいて、眺めているような感覚。

登場人物たちが自然の中でとけ込んでいるシーンが沢山あり、気持ち良さそう。

 

これ、制作者側は、これぞという道を選んでるのが伝わる。

ル・ピュイの道は私は歩いていないので知らないが、スペイン内の巡礼の道は、ル・ピュイにはなさそうな乾いた大地や前方に長く続く一本の道、アースカラーの色をした壁の民家に囲まれた石畳の村など、ル・ピュイの時の景色とは、あえて違う景色を映像に盛り込んでいる。

巡礼路のフランスらしさ、スペインらしさを演出されているのがわかった。 

 

 

 

 映画「わたしに会うまでの1600キロ」

2015年 公開。

アメリカ映画。

 

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アメリカ西海岸を南北に縦走する総距離4000km以上のトレイル、通称PCT。

そのPCTの1600キロを歩いた女性の実話。

映画の中の大自然が壮観。実際に行ったことがなくても雄大さが伝わる。

ロングトレイルの過酷さも伝わる。本当に何にもないところ歩くなんて怖すぎる。

映画のセットやCGとかじゃない、ホンモノの自然や生き物たちの神々しさ。

旅の始めから後悔や失敗が続いても、最後は、やはり旅に出たことが正解なんだと思わされる。

 

パシフィック・クレスト・トレイル - Wikipedia

 


『わたしに会うまでの1600キロ』予告編

 

 

 

 

 

 

映画「星の旅人たち」

2012年 公開。

アメリカ、スペイン合作映画。

 

巡礼初日に悪天候ピレネー山で遭難して亡くなった息子の為に、遺品を引き継ぎ、巡礼の道を歩く父親のストーリー。

 

 

 


映画『星の旅人たち』予告編

 

 

 父親役のマーティン・シーンが当時70歳くらいの時に撮影している。

この映画を制作することになった経緯は、マーティンが3週間の休暇で孫や親友と一緒にレンタカーでスペイン巡礼路を観光したことがきっかけ。ブルゴスの宿でマーティンの孫が運命の相手(将来の妻)と出会い、それから今でも孫がブルゴスで暮らしているとのこと。

 

マーティンがカミーノに魅せられ、徒歩でサンジャンからサンティアゴまでの道を歩きたいと熱望したことから、本作の監督でもあり映画の息子役となったマーティンの実の息子(エミリオ・エステヴェス)と協力して撮影が決まった。

 

 

インタビューでマーティンが

「巡礼中は改めて食事や寝る場所の有り難さに気づいたり、荷物を全部背負い、困難にも耐え1人でやっていくことも求められる。自分のことで精一杯だけど、仲間と支え合うことも大切。巡礼している自分は個人の1人だけど、コミュニティの一員でもある。目的地であるサンティアゴに近づくにつれ、"本当の自分"を理解する。巡礼の旅は、内なる旅でもある。人生は巡礼そのもの。」と語った。

 

 

巡礼後に観ると、実際に自分が歩いた道や知っているバルのシーンがあったり、

巡礼スタート地点のサンジャンピエドポーの鉄道駅や町、橋、石畳がしっかり映っているのがわかりました。

(オリソンのバルがなぜか途中の巡礼中のシーンで出てくるというツッコミどころもあったり) 

 

私がスペイン巡礼の道を歩いたのは今からまだ3ヶ月〜5ヶ月前のことなのに

映画の中の景色が懐かしく思えたり、実際に自分は歩いたのかと、まるで巡礼していた時間が夢だっだんじゃないかのように感じた。

 

ストーリーは、頑固なアメリカ人の老人が、不器用ながらも巡礼の仲間に支えられながら歩き続けた話。

映画の中の季節は秋、登場人物の4人には、それぞれ悩み、苦しみがあります。

なかなか人には言えない、言葉にできない辛さ。

毎日、毎日、ルーティンである起床、朝食、バックパックの準備、靴を履いて巡礼路を歩き出す。

お腹が空いたらバルやスーパーを探して食料を買う。

歩きながら食べるときもあれば、道端に座って休んだり。

車もめったに通らない道、たまにすれ違うのは巡礼者や田舎の住人。

宿をみつけて、荷物をほどき、夕食をとり、シャワーを浴びる。

明日歩く道を地図をみて予習したり、巡礼者や宿の人と情報交換したりする。

 

やっていることは、日常の生活とは異なる巡礼路での日々の生活。

これを1ヶ月ほどやっていると、巡礼路が日常になってくる。

日本で仕事をしていた日常と、

巡礼路での日々の時間が逆転したとき、自分が本当に望むことがわかったり、

忙殺されていた時には見えていなかったことが見えたりする人もいると思う。

ただただ景色の壮観さに圧倒され、楽しい時間もあれば、

なんでこんな思いをしてまで歩いているんだろうとふと思うときもあったり。

なかなか物を捨てられず、重たくてしんどい荷物を背負い込んでヘトヘトになっている自分を客観的に見てみる。

ヘトヘトにしている原因は、自分自身の心のなかの弱い部分だった。

 

 

この映画とは違い、私の巡礼の旅は5月から6月の春。

映画の中の景色よりも、春の巡礼路は緑にあふれていたり、真っ青な空、咲き乱れる花、雄大で素晴らしい道がいっぱいありました。

 

 

 

3つの映画、どれも長い長い徒歩の旅ですが、内なる旅であることは、登場人物たちの変化で見えてきます。

同じ映画を巡礼前と巡礼後にみて、自分の中の変化も味わうことができました。

巡礼に行く前は、遠い国の話であり、景色もそんなには心に響かず残らなかった。

巡礼に行った後は、景色の美しさがとても心に響いてくる。

「歩いたんだ」「ここだ」と懐かしく思える。

映画や本でみていたけれど、実際のスペイン巡礼は、期待以上の景色が沢山ありました。

 

  

  

いじょう。