スペイン巡礼:【Day 22】Ledigos → Calzada del Coto (22km)
【6月10日(土)】
天気は晴れ。
朝は6時に起床。
私のベッドの下で寝ていた韓国の男性(40代)のいびきが大きくて何度か目が覚めた。
今日も暑くなるだろう。
すぐに準備して、出発した。
すぐに道は2つに分かれる地点があり、前方を歩いていた夫婦が立ち止まっていた。
私も迷った。
どちらへ行けばいいのか、iPad miniで確認する。
そこへ、後ろから男性が歩いて来て、「こっちでいいんだよ」と教えてくれた。
助かった。
まったくの1人だったら、ここでずーっと悩んで時間をつぶすか、
間違った道へ行って遠回りしてしまうか、、、
遠回りになれば、宿に到着する時間が遅れる。
この時期、14時なんかに歩いていたら、死んでしまいそうなくらい暑い。
できれば午前中には宿に着きたいと思う様になっていた。
出発してから1時間半ほどで、Moratinosという町が見えて来た。
この町のバルで、巡礼2日目(5月22日)に初めて会ったアメリカ人の女性と再会した。
昨晩、この女性のことをふと思い出していたから、今朝こうして会えたのが偶然とは思えなかった。
彼女とは、巡礼2日目以降に2〜3回、道の途中で会って挨拶する程度で、その後16日間は見かけなかった。
もう他の巡礼者と同様、私のなかでは、「もう二度と会わない人」の枠に入っていた。
再会が嬉しくて、彼女にハグした。
次の町では、大きくて華やかなアルベルゲがあったが今日の目的地ではない。
併設されたバルで休憩だけした。
バゲットは、1本が大きいのと、全部食べきれる前に、乾燥して固くなって捨てるはめになるので、バゲットを半分の長さに切ってもらって購入した。
途中、アイスランドからきた女性とおしゃべりしながら歩いた。
アイスランドと日本、それぞれの話をした。
とても穏やかで優しい感じの女性だった。
寄付制の露店販売がでていた。
ゆで玉子、バナナ、ドライフルーツなどを手に取り、ユーロコインを入れた。
こちらの公園でベンチに座り、少し休憩した。
Sahagunという町に入った。
Sahagun駅があり、鉄道が通っている。
Sahagunの町に入った。
バルの中は狭く、食べものも甘いものばかり。
もうちょっと居心地のいい場所を探してみることにした。
道路のポールまで、ホタテ貝になっている。↑
静かなバルを発見した。レモンビールを飲んだ。1.3ユーロ。
足を痛めた韓国の男性が汗だくになって歩いていた。
挨拶をした。
彼によると、足は痛いが、だからといって荷物の転送サービスを利用して楽はしたくないとのこと。最後まで自分の荷物は自分で背負ってこそ巡礼だというようなことを話してくれた。
私も荷物の転送サービスはしない方がいいのかもしれないと思ったが、転送サービスを利用することで、出発前に宿泊する宿を決めなくてはいけないし、制限がでてくるのが面倒だなあと感じる。
(私の巡礼の最後の10日間は、荷物の転送サービスを利用した。とても快適だった)
道の脇の草むらでは、カサカサと生き物が動く音がした。
どんな生き物がいたのだろうか、カメラを構えて待ってみたが、結局、姿は現れなかった。
Calzada del Cotoの町に入った。
大きな犬がウロウロと歩いていた。
こちらに向かってきたらどうしようかと思ったが、巡礼者などを見慣れてようで、見向きもされなかった。
今日の目的地の公営アルベルゲに到着した。
ここは寄付制だった。
一番乗りかと思いきや、アメリカからの老人・プレムという男性がいた。
はじめ、このプレムがまるで神父さんのように見えたから、てっきりアルベルゲのスタッフだと思ったら、向かいで話しているイタリア人の男性がボランティアスタッフだった。
アルベルゲリストによればベッド数は36床。
一番奥のベッドを選んだ。
女子の洗面所は、トイレとシャワーが1つにまとまっている鍵付きの個室だった。
シャワーカーテンだけの仕切りで、角っこに排水穴があるだけのようなシンプルな造りだった。床が水浸しにならないように、角ッこでシャワーを静かに浴びた。
町の小さなスーパー。
アルベルゲは電子レンジと冷蔵庫しかない。
寄付制の露店でゆで玉子を買っておいてよかった。
スーパーでマフィンを買った。
甘くなくてヘルシー志向らしいが、モサモサしていて、今の季節には、あまり美味しく感じなかった。
アメリカ人のプレムが持ち歩いているツボ押しのマット。(ロシア製)
なぜか、プラスチックの先端が尖っているため、叫び声をあげるほど痛い。
巡礼者たちは、プレムの激痛ツボ押しマットで遊んだ。
みんなで記念撮影。
私の隣のロングヘアの女性はバルセロナ出身のローラさん。
私の隣の水色の半袖シャツの老人はアメリカ人のプレムさん。
プレムはまるで神父さんのように見える。
黒のシャツを着ている男性がイタリアからきたボランティアスタッフ。
彼の提案で、「手放したいこと、ネガティブなこと、癖やパターン」を紙切れに書いた。
その後、外に出て、皆で輪になった。
1つのロウソクを持って、なんでもいいので誓いの言葉を一言いう。
誓いの言葉をいい終えたら、隣の人にロウソクを手渡し、隣の人が誓いの言葉をひとつ言う。
私は、
「生きとし 生けるものが 幸せでありますように。
生きとし、生けるものの 悩み苦しみが無くなりますように
(May all beings be happy, may all beings be free)」と言った。
スペイン人の巡礼者が、スペイン語で誓いの言葉を話す。
それをローラが英語に通訳してくれた。
誓い、祈りのことばを言い、赤いロウソクを順番に回した。
アルベルゲには、スケッチブックが置いてあった。
中をみると、いろんな絵が描かれてあった。
私も絵を描いた。ひとつはカミーノの道の絵↑
もうひとつは、宇宙の絵↑
Metta とは、パーリ語で「慈悲」という意味。
Metta のヨガ、Mettaの瞑想が好きになったのは、Mettaを教えてくれたヨガの先生との出会いから。
2009年にMettaのヨガに出会ってから、だんだんと自分の内面が変わっていった。
ヨガのアーサナのなかで、ハートチャクラという部分をマッサージしたりするパートがある。
先生のアーサナを見よう見まねでやるだけだったけど、なぜか楽しくて楽しくて、毎週金曜日は、仕事が終わったら先生のクラスに通ったことが数ヶ月続いた。
Mettaのヨガにハマったのだ。
明らかに、そのクラスで、初めて、何かを感じた。
自分自身の変化がわかる。
ハートチャクラを意識するだけで、だんだんと何かで胸が満たされるような感覚を覚えた。
先生がリトリートを開催するときは、お寺で1日ヨガをするというイベントに参加しだした。
それが深く自分と向き合えて、ゆったりとした贅沢な時間を過すことができた。
ヨガに出会ったこと、巡礼に出会ったこと、人生に楽しみが増えた。
【アルベルゲ】
・ドナティーボ(寄付制)
当時の日記です。
スペイン巡礼:【Day 21】Carrion de los Condes → Ledigos (23.4km)
【6月9日(金)】
天気は晴れ。
6時15分にアルベルゲを出発した。
Carrion de los Condesの町は好きだった。
昨日の川のほとりで、クラウディアとピクニックをした場所を通り過ぎる。
昨日は6kmしか歩かず、一日のんびりしてリフレッシュできた。
今日の道は、17〜18kmの距離の間、何もないという噂のメセタの道を歩く。
飲み水は、重くなりすぎない程度の量にした。
町を抜ける前に、ATMでキャッシングをトライしたが、先日からエラーとなってユーロ紙幣を引き出せない。
このクレジットカードのキャッシングの使用枠はまだもう少しあるはずだが、為替などの関係で、使用枠いっぱいまでは引き出せないのかもしれない。
そうなると、1回引き出すのにATMの手数料が3ユーロ〜5ユーロ取られたりするので、引き出す時はある程度まとめてユーロ紙幣を引き出したい。
仕方なく、別のクレジットカードでキャッシングした。
後日、巡礼が終わってリスボンにいるときに、前者のクレジットカードの会社に公衆電話からコレクトコールで連絡すると、カードの支払いが完了後にキャッシングできると言われて、その通りだった。無事にユーロを引き出せた。
カリオン川。
町を抜けると、何もないメセタの大地の風景が広がった。
すぐにバルがあった。
特に用事もないので、素通りすることにした。
まだまだ始まったばかり。ゆっくり休憩する気分になれない。
大小の大きさのカタツムリが沢山いる道がしばらく続いた。踏まないようにして歩いた。
ただひたすら歩くのみ。
巡礼者は少なめ。
時刻は10時半。
途中、道端で少し休憩をしながらも4時間程歩いて、Calzadilla de la Cuezaという町が見えてきた。
日中の暑さが厳しくなるのは10時半以降。
これからどんどん暑くなるだろう。
バルで休憩する時間も惜しんで、トイレを借りてすぐに次の目的の町、6.2km先のLedigosへ行くことにした。
やはり陽射しが容赦なく暑い。
ぬるくなった水を飲むが、喉の乾き感がなくならない。
汗もでて、歩くのがしんどい。
さっきのバルで休憩していない分、道を歩いている途中に2回も3回も木陰で座りこんだ。
足の裏がじんじんとする。荷物の重さがこたえてくる。
冷たいジュースが飲みたい。
あと1時間くらいだから頑張ろう。
12時半頃、Ledigosの町に到着した。
公営と私営のアルベルゲが1つずつあった。
公営のアルベルゲは7ユーロくらいで、ベッドが狭そうだった。
ただしキッチンは広く、スタッフも明るそうで、遠くから挨拶してくれた。
私営のアルベルゲがすぐ近くにあったので、見てからどちらかに決めよう。
私営のアルベルゲは、リーゼントヘアで細身のジージャンを着こなした男性と、黒色のロングヘアーでTシャツとジーパンが似合っているナイスバディな美人がテキパキ仕事をしていた。
この町はスーパーもない田舎だけど、都会にいるような雰囲気の2人だった。
オープンカフェではBGMの音楽が音量大きめに流れており、地元のおじいさんが美味しそうなトルティージャをカウンターで食べていた。
トルティージャが美味しそうだし、明るく清潔そうなので、もうこっちにしよう。
早くザックを下ろしてとりあえず休みたい。
宿泊の希望を告げると、リーゼントの男性がすぐにテキパキと書類を準備し、サインして料金を支払い、部屋へ案内してくれた。
一番乗りなので、好きなベッドを選べた。
シャワールームも清潔、全てに大きな窓があり、風も通るし清潔。
他の巡礼者がきて混む前にシャワーも終えて、休んだ後に、町を散策した。
教会のある高台へ行くと、町は本当に小さくて何もないのがわかる。
スタッフが言った通り、スーパーもない。
地元の人たちは、隣町まで買い物に行っているのだろうか。
こんな暑い日中は、みんな家の中で過しているのだろう。
いいところにベンチがあった。
ベンチで座ってぼーっとしていたら、杖をついた、ぽっちゃりした体格のおじいさんが歩いていた。
「オラ〜」と挨拶しあった。
おじいさんは優しい笑顔で
「スペイン語はわかるかい?」「どこから来たんや?」とたずねてくれた。
「ソイ デ ハポン (Soy de Japón)」と伝えた。
何やら、ゆっくりしたスペイン語で話してくれているけど、完全には理解できない。
おじいさんはベンチの斜め後ろで立ったまま、町へ入ってくる巡礼者の1人を見つけ、前方を指差して、「ほら、仲間がいるよ」と言った。
私はうなずいた。
しばらく無言でその巡礼者を高台から眺めた。
がんばれよ、といったような感じでゆっくり階段を下りて帰って行った。
アルベルゲのトルティージャ。1.5ユーロ。
じゃがいもが入ってて美味しかった。
コーヒー味のアイスクリーム。
3ユーロ。こういうスイーツを食べるは久しぶりすぎて嬉しかった。
お土産のショーウィンドウ。
テンプル騎士団の十字のマークが焼き付けられたキーホルダーが目にとまった。
このキーホルダーのシリーズは他のお土産屋さんでもよく見かけたが、テンプル騎士団の焼き印は、ここだけしか売ってなかった。
ここでお土産を1つ買った。
リーゼントとは違う別の男性スタッフにお金を払った。
「お土産への包装か、袋は?」って聞いたら、そういうものはないようで首を横に振って、忙しそうにもとの仕事場に戻って行った。
このアルベルゲはホテルに併設されているため、少ないスタッフでホテルの仕事もし、おまけにレストランでは調理、ベッドメイキングなど、猫の手も借りたい状況なんだろう。
このモホン (Mojón) と呼ばれる、道しるべの石碑も気になった。
ここで買わなくてもきっとサンティアゴ・デ・コンポステーラにはいっぱい売っているだろう。
アルベルゲのベッドには、韓国からそれぞれ1人ずつ巡礼を歩きに来ていた男性1名と、女性2名がグループで歩いていて、私のベッドの隣にきた。
自己紹介しあった。
Carrion de los Condesでも見かけた3人組だった。
男性は仕事で30回以上は日本にきたことがあったそうだ。
韓国の3名ともそれぞれが仕事を辞めて、カミーノを歩いている時に出会ったそうだ。
たわいないおしゃべりをした。
男性の名はチョンさん、女性の名はチョーさん。
もう1人の女性の名は失念した。
チョンさん、チョーさんという名前が多い。
その後は1人で中庭でヨガをした。
メセタは暑すぎる。明日も早めに出発しよう。
【アルベルゲ】
・8ユーロ
当時の日記です。