スペイン巡礼:【Day 6】Cirauqui → Villamayor de Monjardin (24.3km)
【5月25日(木)】
天気は晴れ。
日中は暑いので、夜明け前の5時45分に出発した。
ヘッドライトをつけて歩いた。
しばらく歩いて後ろを振り返る。ライトアップされたCirauquiの町がキレイだった。
イタリア人夫婦はここから36.7km先にあるLos Arcosまで行くそうだ。
私にはとうてい歩ける距離ではないので行けるところまで行こうと思っていた。
前日は15kmしか歩いていないので体力は回復している。
「北のトレド」と呼ばれる美しい古都の町、Estella に着いた。
Estellaはスペイン語で「星」の意味。
12世紀にナバラ王国の宮廷が置かれた。
町に入ってすぐにサン・ミゲル教会(Iglesia de San Miguel)がある。
12世紀建造のロマネスク様式の彫刻で有名。
サン・ペドロ・デ・ラ・ルア教会(Iglesia de San Pedro de la Rua)。
階段を上るのがしんどいのとツアー団体がいたので、通り過ぎた。
後で同じ宿になった人から、素晴らしい回廊があったと聞いて、行けばよかったと後悔した。
川沿いのバル。
休憩しようかどうか様子見で店内を見せてもらった。
旧市街を出る門まできた。
イラーチェ修道院にある有名な"ワインの泉”。
蛇口をひねると赤ワインが出てきて誰でも飲めるというもの。
巡礼者のブログでもたくさん紹介されてて、自分もここへ来たとき、「ここだったんだ」と嬉しくなった。
RoncesvallesとUtergaの宿で会った香港からの二人組のJさんとRさんに再会。
お二人が次々にくる巡礼者を泉の前で記念撮影してくれていた。
私も持っていた水筒のキャップに蛇口をひねって出てくる赤ワインを注ぎ入れ、記念撮影して頂いた。
味は今までに飲んだ赤ワインの中でもとても美味しく感じた。
現在地はこの辺り。
坂道を上がったところにある木陰で巡礼者たちが休憩していた。
香港のJさんとRさんもいてしばらくみんなと休んだ後、また歩き出した。
サクランボの実。
標高894mのMonjardinという町の名前の由来となっている山。
この山のふもとに次の町がある。
暑くて疲れたので今日はこの町に決めた。
町の名前が長くて覚えにくい。ビジャマヨール・デ・モンハルディン。
アルベルゲは2つしかない小さな町。
バルも少なく、アルベルゲの受付までバルでモストを飲んで休んでいたら、Cirauquiでディナーが一緒だったフランス人と再会。
カメラを向けるとお茶目にポーズをとる。さらに次の町まで行ったのでフランス人と会ったのはこれが最後だった。
Cirauquiの宿が同じだったスウェーデンからきた24歳のYさん。
公営のアルベルゲ(8ユーロ)は受付待ちの列で多くの人が待っていた。
人が少ないアルベルゲが落ち着くので、もうひとつの私営アルベルゲを見に行った。
受付が終わったばかりの台湾からの巡礼者Tさんが、
「ここはまだベッドが空いているよ」と教えてくれた。
15ユーロと割高のアルベルゲだけど、静かでのんびりできそうなので決めた。
先ほどの公営のアルベルゲのスタッフと違い、テキパキと受付をしてくれて、ベッドも確保し、汗まみれになった服を取り替え、シャワーを浴びて洗濯できた。
南アフリカからきたJさんとも自己紹介し、夕食を3人で一緒に自炊して作ることにした。
夕方になるまでベッドで横になり、台湾のTさんは足の豆を自分で手当していた。
台湾のTさんは、20年前にテレビか本でカミーノを知っていていつか歩きたいと思っておりようやく念願かなったと話していた。
勤務している会社の上司から休暇をもらえ6月21日頃にパリから帰国しなければならない為、豆だらけの足で血を流しながら頑張って歩いている。
サンジャンピエドポーでは1泊する人が多いと思うが、彼女の場合は時間の余裕がない為、バイヨンヌからサンジャンに列車で移動し巡礼事務所で受付してそのまま朝10時に巡礼を開始した。
多くの人が朝6時から8時までにはピレネー越えに出発する為、朝10時に歩き出したTさんは最後まで他の巡礼者と会うことがなかったという。
”あ!やっと人がいた!”と思って近寄ったら、牛や羊だった。
歩いても歩いても人がいなくて心細かったそうだ。
18時にアルベルゲに到着した時は、一番遅い到着だったようで、まわりから拍手で迎えてくれたそう。
毎日彼女は30km以上の距離を歩いてきていた。
仕事を辞めずに巡礼にくる人も多かったけど、やはり歩くノルマが決まってしまうのと、どうしても無理をしないといけないため、精神的にも辛そうだった。
南アフリカからきたJさんは、仕事は辞めずにきているけれど、休暇は3週間だった。あまり歩くのが早くない彼女はブルゴスからレオンまではバスで移動していた。それでも距離を稼ぐ為に1日に40km歩いた日もあったと後で再会した時に話していた。
この日も窓を全開して風を感じながら眠った。
アルベルゲのすぐ隣の教会は、毎時間ごとに鐘がなり、目が覚めた。
【アルベルゲ】
・15ユーロ
当時の日記です。
スペイン巡礼:【Day 5】Uterga → Cirauqui (14.6km)
【5月24日(水)】
天気は晴れ。
Utergaは小さい町だった。
ここに泊まった巡礼者も少なめだったからか、早朝の道は人がほとんどいなかった。
韓国からきた巡礼者の親子の後ろ姿を時々見かけた。
ドイツからきた巡礼者と会い、お互い自己紹介しながら歩いた。
3週間の休暇を利用して巡礼をしているとのこと。
旧市街へ入って行く。
Puente La Reina という町だった。
11世紀にナバーラ国の王妃により建設されたといわれる”王妃の橋”。
ロマネスク様式の石造り。
橋の上からみるアルガ川は長さ145km。パンプローナの川と同じだった。
上り坂がでてきた。
私は上り坂になるとペースが落ちるし、休まないと歩けない。
ドイツの女の子は3週間でサンティアゴまでゴールしなくてはならない為、ここで別れを告げた。
Mañeru という小さな町に到着したようだ。
バルを探してオレンジジュースを飲み休憩した。
巡礼手帳にスタンプを教えてもらう。
パスワードをきいてwi-fiにつなげて20分くらいゆっくりした。
ここから次の町 Cirauquiまで2.7km。
まだ歩けそうなので次の町まで行くことにした。
左手の方向に、石のモニュメントが見えてきた。
カメラのズームで撮影した。
前方の丘のように盛り上がった大地に町があるが見えてきた。
この町は面白そう!
アルベルゲを発見。今日はここにしよう。
アルベルゲの受付は13時からとドアに書いてあった。
誰もいないのでザックをドアの前に隠す様に置き、散歩した。
薬局で足の豆の相談をした。
消毒剤を買ったついでに、疲れが取れやすいようにマルチビタミン剤も購入した。
しばらくこの教会の前にある石のベンチに寝転んで宿が開くのを待った。
この町には人がほとんど住んでないんじゃないかと思えるほど。
町のスーパーには地元の人もいた。
白いバンから、鹿か牛のような動物の皮を剥がされただけの肉を抱えた肉屋の業者さんが車から降りて来て、スーパーの調理室へ入っていた。
大きな丸裸の獣を肩に抱き抱え颯爽と歩くワイルドな様子にギョッとした。
スーパーのお肉コーナーにはウサギや大きな肉のブロック、サラミがいくつも並んでいる。
さすが、スペイン。
アルベルゲの受付が始まり、優しい女性スタッフが説明してくれた。
シャワーを浴び、洗濯をした。
夕食まで、2時間程ぐっすりと昼寝ができた。
アルベルゲでペリグリーノメヌー。11ユーロ。
イタリア人夫婦とドイツ人の親子、フランス人と同じテーブルになった。
イタリア人のご主人とフランス人がよく話してくれた。
フランス人が皆に料理を分けてくれた。
イタリア人のご主人は、何かとジェスチャーで笑わせてくれた。
ご主人はフランス人と2人で言い合いしたりボケとツッコミのようにテンポが合う。
ご主人がフランス人に「君ももっと食べなよ」というと、「俺を太らせないでくれよ。あなたはスリムでいいですね」と返す。
ご主人「老人になると背は小さく縮むし、ハゲにもなるし」と自分の頭を撫でて、笑わせる。
あまりワインを飲まない私にご主人は「みんなイビキをかくからワインを飲んだ方がよく眠れるんだよ」と言う。
コメディアンのように表情豊かなご主人を見てるだけで楽しかった。
夜は窓を全開にして風を感じながらよく眠れた。
【アルベルゲ】
・11ユーロ
当時の日記です。